2015年3月13日金曜日

回る回るよ~

まだ小さかった頃のこと、便所はぽっとん、汲み取りだった。
故郷を出て、生きていまや水洗どころか、ウオシュレット、自動洗浄等々が当たり前のようになっている。

汲み取りの頃は、堆肥にも使っていたようで、保健の時間に回虫などの生態を堆肥にからめて教わった記憶がある。
いまも北朝鮮では、し尿が経済的価値と認められて、足らない家は税の如く堆肥代を徴収されると聞いたが、近代的な肥料が発明されるまでは、我が国でも似たりの部分はあったよう。

ところで、このところ医療で糞便の移植についての話をよく耳にする。
トレンドのひとつのよう。
医学や医療は、プラクティカルなものだから、効用があれば別に不思議はない。
あれだけ除菌だなんだと清潔イメージを売りながら、これ。
病気で困って、それが効くとなればおかしくもない。
別にトンでも医療ということでなく、無菌のヒルやウジ虫を傷の治療などに利用する向きもあるようだから、何でもありのうちのひとつだろう。

虫と言えば、回虫の一種のアニサキスが、未発見のガンに蝟集したことにヒントを得て、尿からガンを診断する方法が開発されているところらしい。
まあ、オシッコ一滴で「あなた原発不明のガンです」なんてご託宣受けて、いろいろ探しても出てこず、分かるまで時間待ちなんてなれば、大きな不安抱えて、どこがご利益なのか分からないが、それはそれで技術進歩なんでしょう。

オウムも頭に何かかぶってマントラを唱えていたが、脳科学系の先端技術もあの手のかぶりものが日進月歩しているごとく。
フェイクとほんものもきわどい。
きわものといわれるものも、きわものなりにらしき口上は向上させる。
昔、何とかワクチンで門前ぎっしりのところが、ちょいと座ればピタリと当たる式でトンでもと揶揄されたが、正統派といわれるところとどう違うかというと、回虫モドキの根拠がないのに自信ありげに言うからですという話。
大昔、大病の貴族が、貴金属なんぞを摂取して薬としていたらしいが、いまだってプラチナ製剤なんぞをガン治療に使っていて、違いは統計や理屈の違いだけで、昔の人も何かに気がついていただろうことは容易に想像できる。

人の致死率は一生でみれば百パーセントだから、回り回っているうちに終わる。
斯くして医療評価、値問いは難しいという話。